大判例

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東京高等裁判所 昭和59年(う)803号 判決

被告人 青木英一

〔抄 録〕

所論は、被害者が当時通行していた普通自転車の歩道通行部分の自転車横断帯入口手前には、「自転車とまれ」の道路標示があったから、被害者としても自転車横断帯に進入するに際し、右規制標示に従って一時停止すべきであったのにその措置を講じなかった点において責められるべき過失があり、原判決は過失の認定について事実を誤認しているという。しかし、所論が指摘する路面に白いペイントで逆三角形内に「とまれ」という文字と自転車の記号のえがかれている表示は、道路交通法四条及び「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」(昭和三五年総理府・建設省令第三号)が定める交通規制のために設置する道路標示の中に含まれているものではなく、それは単に、所轄警察署が、道路交通法上、自転車横断帯の上を通行する車両よりも先に通行することができる自転車に対し、交通安全確保の見地から一時停止するよう指導する趣旨で表示されたにすぎないものであることは、当審が取り調べた検察事務官須田幸弘作成の報告書に徴しても明白である。したがって、本件事故現場に右の表示が存在するからといって、被告人が道路交通法三八条一項に従って横断歩道等の手前で一時停止し、かつ、被害者の進行を妨げないようにすべき立場にあることにかわりはなく、それゆえ、被告人が原判示当時の具体的状況上同判示の注意義務を負うべきは当然のことといわなければならない。

(寺澤 片岡 小圷)

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